リースの日本基準では、リースをオペレーティングリースとファイナンスリースに分け、原則としてファイナンスリースについて資産計上しておりました。一方、IFRS16号においては、リースをオペレーティングリースとファイナンスリースの2つに区分せずに、原則すべてのリースについて使用権資産およびリース負債を認識し、資産計上します。
使用する権利(使用権)を資産として計上するため、使用権資産が投資不動産に該当する場合や減損に該当する場合には、使用権資産の公正価値を査定する必要が出てきます。使用権資産が不動産に関する契約に基づく場合には、不動産の専門家たる不動産鑑定士によって時価評価するケースがあります。
不動産に関する使用権資産は使用する権利(使用権)であり、不動産マーケットでいうところの借家権に近い概念とも捉えられます。借家権については、不動産鑑定評価基準にも記載されており、オーソライズされた権利ですが、過去銀座等のような特殊エリアを除き、取引の対象となるケースは極めて稀で、立ち退きの際にその価値が顕在化する権利です。
また、借家権は税務の世界では建物固定資産評価額の30%と画一に評価されるように政策的に価値を認められるケースがあり、再開発等では損失補償基準に基づいて、家賃差額から借家権価値を算定したりします。
一方、使用権資産についは、国際会計という制度に基づいて資産として認められる概念であり、その評価方法や評価の基準、鑑定評価書の内容などは借家権と異なり確立されていませんが、当社ではおかげ様で使用権資産の評価調査を100件以上受託して実務を行っております。
使用権資産の公正価値は、リース負債の簿価にリース契約の公正価値を加算して算定されます。
リース契約の公正価値は、将来的に見込まれるキャッシュ・インフローから、リース契約に基づき将来見込まれるキャッシュ・アウトフローを控除した現在価値として算定されます。公正価値の評価においての論点の一つとして、割引率の査定があげられます。不動産市場に存在しない使用権資産の割引率をどのように査定するのか、不動産オーナーと転貸人とのリスク度の違い、リース契約の内容等を把握して割引率の査定をすることが重要になります。
使用権資産をまだ耳にしたことがない不動産鑑定士が多く、評価方法も内容まだまだ黎明期にあります。使用権資産も様々なパターンがあり、すべてを網羅しているプレイヤーは皆無ではありますが、そのような中、おかげ様で当社は一定の信頼と評価を頂き、使用権資産の公正価値算定を行わせて頂いております。
使用権資産の公正価値評価のご相談は桜木不動産コンサルタントまで。
日本全国対応しております。
不動産鑑定に関する質問やお問い合わせは、
下記のお問い合わせフォームよりお願いします。